「安心して鍼灸を受けられる場所」を考えるきっかけに

学会からジェンダーに関する鍼灸論文の査読を依頼されて

先日、学会より、ジェンダーに関する鍼灸医療の研究論文について、査読のご依頼をいただきました。

査読とは、研究論文が学術誌に掲載される前に、その研究内容を専門的な立場から読み、研究の目的や方法、結果、臨床的な意義などについて検討します。

今回、このような機会をいただき、論文を読みながら改めて考えたことがあります。
それは、
「鍼灸の技術だけではなく、安心して施術を受けていただける環境そのものが大切なのではないか」
ということです。

ジェンダーについて悩みを抱えている方の中には、
「自分のことをどう説明したらいいのだろう」
「名前や呼ばれ方について、どう伝えればいいのだろう」
「身体を見られたり、触れられたりすることに不安がある」
「鍼灸師に理解してもらえるだろうか」

そんな不安から、身体の不調があっても施術を受けることをためらってしまう方もいるのではないでしょうか。

私は、そうした不安を「気にしすぎ」と片付けるのではなく、まずはその方が安心できる方法を一緒に考えることが大切だと思っています。

当院では、施術を受ける方が無理をして自分を説明したり、必要以上に身体を見せたりすることがないよう、できるだけ一人ひとりの希望を尊重した施術を心がけています。
「どこまで話せばいいのかわからない」
「身体について説明することに抵抗がある」
「男性・女性という枠だけでは自分を説明しにくい」
そんな場合も、最初からきれいに説明できなくて大丈夫です。
施術を受けながら、必要なことを少しずつお話しいただいても構いません。

私は、鍼灸師として、ALLYとして、その人がその人らしく、安心して施術を受けられる場所でありたいと考えています。

今回、学会からこのようなテーマの論文査読をご依頼いただいたことは、私自身にとっても、鍼灸とジェンダーについて改めて学び、考える貴重な機会となりました。

そして、もし今、

「鍼灸を受けてみたいけれど、ジェンダーのことや身体のことをどう伝えたらいいかわからない」

と迷っている方がいらっしゃれば、まずはお気軽にご相談ください。
すべてを話していただく必要はありません。
「少し不安があります」
その一言からでも大丈夫です。

安心して相談できることも、施術の大切な一部だと私は考えています。